【時視各角】超党外交は実現できない夢なのか=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.02.22 15:43
「経済こそが重要だ、愚か者」というビル・クリントンの言葉でなくても選挙運動では経済問題を前面に掲げるのが一般的だ。ところが、今回の20代大統領選では、外交安全保障分野で火花が飛び散っているというのが意外と言えば意外だ。他の国内問題、例えば100万世帯単位の供給競争戦に出た不動産政策やコロナ防疫や景気対策、さらにはテレビ討論中にどさくさに紛れて4者合意を得た年金改革などの公約は与野党が互いに似通っていく様相が見られる。進歩、保守を離れて合理的な解決策を探すことが、票を得る道だと信じているためだろう。一方、差別性が際立つのは外交安保分野だ。先進国に仲間入りした大韓民国の有権者が懐事情より国家安保と未来の方を心配するためだろうか。実情はそうではないだろう。
今、大韓民国では教科書に出てくる「大きな政府vs小さな政府」や「成長vs分配」などの基準より「交流協力vs非核化」や「包容vs圧迫」などの対北朝鮮政策が保守と進歩を分ける、より有力な尺度として通用する。だから、自分の味方、相手の味方に分けて並ばせるのに、経済よりも外交安保の方が具合が良い。尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補がTHAAD(高高度防衛ミサイル)追加配備や先制打撃論に言及したことほど進歩陣営にとって良く食いつくものはない。その内容が穏当かどうかは後の問題で、「平和vs好戦」の二分法フレームばかりが注目される。同様に、終戦宣言、制裁緩和など文在寅(ムン・ジェイン)路線を継承するという李在明(イ・ジェミョン)候補の立場や「凶悪なTHAAD」発言には保守が食いつく。問題は、多様な変数が複雑に絡み合った外交安保の懸案は、感性に訴える選挙戦略や一刀両断に分けて国論を定めるべきことではないという点だ。本当の懸念は選挙後だ。「平和ポピュリズム」や「安保ポピュリズム」で得た票にどう答えるのか。