英国政府通信本部（ＧＣＨＱ）諜報局長が、「ロシアのプーチン大統領がウクライナで軍事反乱（ｍｉｌｉｔａｒｙ　ｉｎｓｕｒｒｅｃｔｉｏｎ）に直面した」と述べた。英国は米国が主導する機密情報共有同盟「ファイブアイズ（米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド）」のメンバーだ。

◆「ロシア軍の指揮・統制の混乱が深刻」

３０日（現地時間）、ロイター通信と英日刊紙ザ・タイムズによると、ジェレミー・フレミング英ＧＣＨＱ情報局長は、オーストラリアの首都キャンベラにあるオーストラリア国立大学で演説中、「ウクライナに駐留中のロシア兵士の一部が命令を拒否して装備を破壊し、自国の航空機のうち１機を撃墜する失敗を犯すのを見た」と述べた。

フレミング局長はロシアのウクライナ侵攻をプーチンの「個人戦争（ｐｅｒｓｏｎａｌ　ｗａｒ）」と称し、「プーチンの参謀たちが作戦失敗について嘘をつき、個人戦争は軍事反乱に直面している」と強調した。続けてロシア軍の低い士気、兵站の失敗、莫大な死傷者数などを原因に挙げ、「ロシア軍の指揮と統制が混乱に陥った」と述べた。

フレミング局長は「プーチン大統領は一時強大だったロシア軍の能力を大きく見誤ったのと同時に、ウクライナ国民の激しい抵抗と西側諸国の強力な制裁を過小評価した」とし「プーチンを恐れた参謀たちが彼に真実を言えなかった結果とみられる」と強調した。

ロイター通信はＧＣＨＱの分析を独自に確認できていないとしつつも「ＧＣＨＱはファイブアイズ同盟を通じて米国の国家安全保障局、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの諜報機関と緊密な関係を結んでいる」とフレミング局長の発言を後押しした。

米国でも、ロシア軍の作戦がまともに実行されていないという評価が出た。軍事情報に精通する３人の米国高官は「ロシアの精密誘導ミサイルの失敗率が６０％に及ぶ」とロイター通信に伝えた。

これに対し、ロシア国防部は「ロシア軍隊は非常に専門的で、ウクライナで相当な成果を出して任務を遂行中」とし「西側諸国がロシア内部の信頼関係を崩すための作戦の一環として嘘の情報を広めている」と反論した。

◆「プーチン、中国に利用されている」との主張も

フレミング局長は演説で「プーチン大統領が中国に利用されている」とも主張した。ロシアはこの日、西側諸国がロシアに対し、事実上「経済戦争」を宣言しただけに、欧州を離れ、中国との協力を拡大・強化すると発表した。

習近平中国国家主席がロシアの経済的弱点を利用して石油とガスを安く購入し、中国の国際的影響力を強化する機会を捉えた」と分析した。

ベン・ウォレス英国防相も「中国がロシア支援に積極的に乗り出さないのには理由がある」とし「ロシアの失敗で最も利益を得る国は中国で、ロシア人はすぐに自身が本当に１人だという事実を悟ることになるだろう」と述べた。

一方、ロシアの世論調査機関レバダセンターによる最近の世論調査の結果、ロシア国民のプーチン大統領に対する支持率は８３％だった。ウクライナ侵攻前の先月初め（７１％）より１２％ポイント上昇した。昨年１１月６３％、１２月６５％、今年１月６９％に続き持続的な上昇傾向だ。