北朝鮮が最近、臨津江（イムジンガン）上流の黄江（ファンガン）ダムの水門を開いて放流した。韓国軍消息筋は３０日「最近、北朝鮮が大雨によって黄江ダムの水門を開放したと判断している」と明らかにした。

統一部は北朝鮮が事前通知なしに臨津江上流の黄江ダムの貯水を放流したことに対して「遺憾」を表明した。統一部当局者は３０日午後記者会見で「北朝鮮が最近、黄江ダムの水門を開放したと推定される」として「黄江ダムの水門開放が事実なら、韓国側が北朝鮮側のダムの放流時に事前に知らせるように要請したにもかかわらず、北朝鮮側が何も通告しなかったことに対して遺憾に思う」と伝えた。

この当局者は「推定」という表現を使ったことに関して「北朝鮮が公式に発表しなかったが、様々な資料に基づいて分析して判断した」と話した。ただし、一方で国防部など関係部署との状況共有を通じて北朝鮮が事実上水門を開放したのが確実だと説明した。

韓国政府は先月２８日、北朝鮮の水域のダムを放流する場合、韓国側に事前に通告するように求める対北朝鮮立場を発表した。統一部は南北共同連絡事務所を通じて関連の対北朝鮮通知文の発送意思を伝えたが、北朝鮮側が受信に対する明確な立場を明らかにしなかった。これを受け、国防部は西海（ソヘ）地区の軍通信線の最後の通話で関連内容を口頭通知事項で伝えた。

政府は北朝鮮が黄江ダムの水門を開放したのは政府が事前通知を求めた後だと判断している。統一部当局者は「ある特定時点に（分析が）完了したということは難しい」としつつも「立場を発表する水準で分析が行われたのは今日」と説明した。政府は北朝鮮にダム放流時には事前に知らせてほしいと求めたが、北朝鮮は回答せず放流に出たのだ。ある専門家は「北朝鮮の無断放流は新政府の反応を察する狙いがある」と指摘した。

臨津江上流の黄江ダムから放流が行われれば、韓国側の郡南（クンナム）洪水調整ダムまで到着するのに４～５時間がかかる。黄江ダムの総貯水量は韓国の郡南ダム（総貯水量７１６０万トン）の約５倍にあたる３億５０００万トンに達する。このため、水門を開けば臨津江最北端の必勝橋と郡南ダムの水位が急速に高まる。

その下流にある必勝橋の水位は最近関心水位である５メートルにまで上がり、３０日午前から次第に下がり３メートル水準で安定的に管理されている。漣川（ヨンチョン）臨津江市民ネットワークのイ・ソグ代表は３０日「北朝鮮黄江ダムが予告なしに無断放流する場合、漣川など境界地域は深刻な洪水を体験するしかない」とし「夜中に焦りながら臨津江の水位の変化を見守った」と話した。