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「半導体強国の錯覚、韓国政府だけが危急な戦争状況を知らない」

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2022.09.17 11:46
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「米国や日本などの競争国は現金までばらまきながら半導体投資誘致戦争をしているが、、韓国政府だけがどれほど危急な状況かを把握していない」。

朴在勤(パク・ジェグン)漢陽大融合電子工学部教授(韓国半導体ディスプレー協会長)が最近の米国、中国、日本、欧州など主要国の半導体産業誘致競争についてこのように評価した。韓国が世界で起きている半導体誘致競争で劣勢になっているということだ。実際、韓国に工場を建設することにしていた台湾の半導体企業が米国行きを選択したりもした。韓国としては痛恨だ。このようなことが生じるのは韓国が半導体強国という錯覚のためだと、朴教授は指摘する。14日、漢陽大漢陽総合技術院(HIT)で朴教授に韓国半導体産業が直面している状況について尋ねた。

 
◆企業、税金減免より現金支援を望む

--半導体産業誘致競争が激しい。

「まさに戦争だ。韓国に投資する予定だったが最近米国で方向を転換した台湾のグローバルウェーハズという企業がある。同社が米国から支援を受けるのは投資金の50%だ。半導体支援法を通じて連邦政府と地方政府の税制優遇が投資金の35%、連邦政府の現金インセンティブ(補助金)が15%だ。米国に工場を建設する場合、韓国に比べて投資額は2、3倍かかる。企業の立場では当然、投資額が少なくて済む韓国に投資するのが普通だ。すると米国政府が現金でこの費用を負担すると提案したのだ。米国は数年前まで安い電気料金が政府の補助金だとして韓国産鉄鋼製品に関税を賦課し、公正貿易を強調していた国だ。その国が今では手段を問わず半導体産業の誘致に死活をかけている」

--現金支援が重要なのか。

「当然だ。半導体は初期投資費用を回収するのに5年ほどかかる。したがって投資初期直後の数年間の税金減免は特にメリットがない。現金支援は違う。事実上、設備の一部を政府が与えるということだ。このためサムスン電子など国内企業も米国に投資し、支援を最大限に受けるために米国政府と協議をするしかない」

--他国はどうか。

「日本も台湾のファウンドリー(半導体委託生産)のTSMC工場を熊本県に誘致した際、経済安全保障法に基づき現金補助金を出すことにした。工場建設費用約1兆1000億円のうち半分ほどの4760億円を日本政府が支援するということだ。工場の敷地も熊本県が造成している。中国はさらに露骨だ。技術の確保が目的であるため、自国企業が対象ではあるが事業計画書さえあれば政府が事業敷地を提供し、銀行の融資も斡旋する。地方政府は現金で投資金を出す。事業計画書さえあれば事業が可能ということだ。台湾は政府があらかじめ工場の敷地を準備しておき、半導体企業が必要だといえばすぐに供給する」

--韓国はどういう状況か。

「サムスン電子がインテルを抜いて半導体企業のうち売上高1位になったという話が繰り返され、韓国は半導体強国だと錯覚している。サムスン電子とSKハイニックスが恩恵が多い海外で生産施設を増やしても、韓国が半導体強国といえるだろうか。サムスン電子とSKハイニックスの売上高がさらに増えても韓国が強国だとは言いにくい状況だ。にもかかわらず韓国の半導体産業競争力を高める案の実行があまりにも遅い。現在(私が)委員長を務める龍仁(ヨンイン)半導体クラスターにしても、2019年に決定しながら3年経っても着工式をしていない。最近は驪州(ヨジュ)市が利益を分配しようと言ってさらに難しい状況を迎えている。これなら2027年の完工は不可能だ。中央政府が地方政府も説得できないのに何ができるのか」

◆メモリー半導体の技術格差が大幅減少

--大企業に対する特恵という批判もある。

「半導体企業がサムスン電子やSKハイニックスなど大企業であるため、そのような反発があるだろう。しかし韓国経済の未来を考えれば投資しなければいけない。例えば、新型コロナでサプライチェーンがふさがり国内自動車産業を停止させた車両用半導体(MCU)を思い出してほしい。ヒョンデ(現代自動車)のような自動車企業は半導体の大半を中国から輸入するが、昨年は半導体を確保できず操業ができなかった。自動車部品企業など中小協力会社もすべてストップした。電子製品は言うまでもなく、今後、製造業で半導体が入らない分野はなく、関連の中小企業もすべて打撃を受ける。先進国が半導体工場の誘致に死活をかけるのも、インテルやソニーのような大企業を支援しようということではない」

--車両用半導体の技術は確保されているのか。

「車両用半導体を作るためのロジック技術を保有する会社は台湾のTSMC・UMC、米国のグローバルファウンドリーズ、中国のSMIC、韓国のサムスン電子ほどだ。ところがサムスン電子は技術だけがあって生産ラインがない。サムスン電子はメモリー半導体とシステム半導体のファウンドリー分野で先端設備に投資し、この分野まで投資するのは負担になるだろう。大企業特恵支援という批判を避けるには中小企業を選定して支援すればよいが、その場合は技術を買ってこなければならず投資の負担が増える」

--半導体の技術格差はどのような状況か。

「米マイクロンや中国YMTCの技術追撃が激しく、格差をどれほど維持できるかはよく分からない。これまで無視してきた中国は驚くほどの速度で追い上げている。YMTCも最近3D NANDフラッシュを生産して市場に参入した。最近アップルがiPhone14に中国YMTCのNAND型フラッシュメモリーを搭載することにした点をみても、技術力を軽視すべきではないということだ。NAND型フラッシュメモリーでも技術的難度が高いNAND型フラッシュメモリーコントローラー(NAND型フラッシュメモリーの頭脳の役割をするシステム半導体)はどのレベルかまだ分からないが、アップルはこのような設計が優れているため価格が安いYMTCに接近したのだ。もう安心できる状況ではない」

--どのように対応すべきか。

「競争国より多くの恩恵を与えればよいが、それは容易でないため、競争国並みに支援を増やす議論を国会ですぐに始めなければいけない。企業も積極的に動いて国内投資計画を提示し、政府に必要なことを要求すればよい。両手が触れてこそ拍手ができるように政府と産業界が同時に動き出す必要がある」

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    韓国半導体産業のビジョンと課題を説明する朴在勤(パク・ジェグン)漢陽大教授。チョン・ジュンヒ記者
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