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【韓半島平和ウォッチ】韓日関係の障害物「現金化の罠」から抜け出すべき(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.09.27 11:01
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韓国大法院(最高裁)は2018年、植民支配の不法性を根拠に原告が受けた精神的被害に対して慰謝料を賠償すべきという判決を出した。1965年の韓日請求権協定と衝突しながらも司法自制の原則を越えるこの判決は、被害者の怒りを解消して傷を治癒するという側面でみると一種の「呪術」だった。さらにその判決が韓日関係の甚大な悪化を招いたという側面でみると「咀呪」とも表現できる。

判決が下されると、原告の被害者側は正義が実現されたと感激した。半面、日本政府は請求権協定で徴用者問題が完全に解決したため判決は国際法違反だと反発し、被告の日本企業は判決の履行を拒否した。すると原告側は判決の強制執行のために被告企業の韓国国内の資産を現金化する手続きを踏み始めた。その後、韓日関係は「現金化の罠」にかかり、政治・外交・軍事・安保・経済・文化交流にいたるまで破局に向かって突進した。

 
2022年6月の新政権発足以降、韓米関係を再設定した尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権はその流れで韓日関係改善に注力した。朴槿恵(パク・クネ)政権当時の慰安婦合意がこじれた経験を教訓に、政府は徴用者問題の解決法を公開的に用意するため7月4日に官民協議会を稼働させた。

◆官民協議会、2カ月で幕下ろす

協議会は第3者が被告企業に代わって債務を返済することが解決法になるかどうかについて主に議論した。代位弁済が成立するためには債権者の原告全員の同意が必要だったし、この点について参加した被害者代理人は日本政府と被告企業の謝罪表明および被告企業の基金参加が同意のための最低条件になることに言及した。外交部はこうした状況を日本に伝え、公開・非公開で日本政府の誠意ある呼応、すなわち謝罪表明と基金参加を要請した。

2回目の協議会以降も日本の呼応はなく、現金化に対する大法院の最終判断が迫った。現金化の罠が迫ると、外交部は7月26日、大法院に意見書を提出し、これを大法院の判決の履行を妨害する行為と見なした被害者代理人は協議会不参加を宣言した。8月9日に被害者側が抜けた3回目の協議会で債務引き受け、供託などが検討され、その後も謝罪と基金参加は不可であり、現金化が施行されれば報復措置があるはずで、それによる結果はすべて韓国に責任があるという日本の立場は一貫していた。現金化の罠にかかった日本も誠意のある呼応どころか、全く動かず原則的な立場ばかりを繰り返した。

9月5日に最後の4回目の協議会が開かれた。外交部は政府が第3者になって税金で返済する方式は解決法になりにくいという点を明らかにした。これは新設財団や従来の組織が第3者となり、韓国の請求権資金恩恵企業と被告企業から基金を作って返済する方式が解決法として残るという意味だ。しかし財団を新設するには与野党合意による特別法を制定しなければならないため、直ちに作動する従来の日帝強制動員被害者支援財団が主体となり基金を集めて返済する解決法が政府の手に残されたまま、稼働から2カ月で官民協議会は幕を下ろした。

◆判決の呪術を解くには歴史的対応を振り返るべき

こうした結果は、日本政府と被害者の間で緊張感のある曲芸をしていた政府が結局、被害者側に傾いたことを意味する。これには意見書提出で被害者側の離脱を招いた外交部の失策と尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の支持率下落が要因として作用した。被害者の反発と国民の冷たい視線に対応できないと判断した尹政権は、被害者と国民を説得するよりも日本を説得して譲歩を引き出すという結論を出したとみられる。結局、またも判決の呪術と現金化の罠が威力を発揮したのだ。

もう政府は片手に国益論という論理と、別の手に残った解決法を持って、日本に向かって適当に配分された基金参加と適切に調節された謝罪表明を求めることになった。ボールは日本に渡った。日本は自国の実益に基づいて従来の原則と名分のある立場をたたんで韓国政府の求愛に応じるのか、それとも求愛を冷たく断るのか。植民支配を通じて不幸と苦痛を抱かせた日本が今この程度の譲歩はすべきではという韓国国民の情緒を受け入れるのか、それとも、いつまでこうしたパターンを耐えなければいけないのか、これが終わりではないはずだといって身震いする日本国民の感情に従うのか。これは日本政府が決めることだ。

日本が前者を選択するなら、たとえ最善の解決法ではなくても、徴用者問題は現金化の罠から抜け出して収拾の段階に移行するだろう。ふさがった状況に突破口を開くという点で悪くない解決法だ。とはいえ、これで判決の呪術が解けるわけではない。単に大法院の判決の勝訴者の15人に対する措置にすぎない。現在訴訟を進めている1000人に近い被害者、そして公訴時効満了で訴訟を提起できなかった被害者、さらに15人と似た事例だが1審で敗訴した被害者の問題を今後どのように処理するのか、政府は山積した難題に直面することになるだろう。

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