ソウル市が対北朝鮮支援団体である「わが民族助け合い運動」に対する監査に着手したことが確認された。同団体は北朝鮮のミサイル挑発が頻発した時期に北朝鮮の宣伝歌を演奏するコンサートを開き、西海（黄海）での韓国公務員殺害事件の時期には平壌（ピョンヤン）旅行学校事業を展開した。ソウル市は補助金が適正に使われたのか確認している。

◇「火星８」撃った２０２１年にコンサート開催

与党「国民の力」の徐範洙（ソ・ボムス）議員室が２９日に明らかにしたところによると、同団体は２０１９年から２０２１年までソウル市から４億ウォンほどの補助金を支援された。この期間に同団体は「平壌探求学校事業」などを推進した。事業は北朝鮮・統一関連講義と公演などで構成された。２０２１年６月と１０月の２回開かれたコンサートでは金日成（キム・イルソン）主席が直接作ったという『思郷歌』と『花を売る乙女』など宣伝曲が演奏されたという。『花を売る乙女』は革命歌劇（北朝鮮式オペラ）ジャンルで『血の海』『ある自衛団員の運命』とともに北朝鮮の３大古典と呼ばれる。

コンサートが開かれた２０２１年は北朝鮮の相次ぐ挑発で安保脅威懸念が高まった時だ。北朝鮮は同年８回にわたり極超音速ミサイル（火星８）と新型地対空ミサイルなどを撃った。徐議員室関係者は「（同団体は）公演された歌が北朝鮮の金日成偶像化と体制の優越性を宣伝する代表的な歌ということを認識しながらも公演した」と主張した。

◇公務員殺害事件時に「平壌旅行」事業

また同団体は「平壌旅行学校事業」なども行った。平壌旅行学校は旅行計画を立てたり講演などを通じて間接訪朝体験をする事業だ。期間は２０２０年９月１８日から１２月３１日までだったが、事業初期の９月２１日に西海公務員殺害事件が起きた。徐議員室は北朝鮮軍の仕業と推定される重大な事件が発生したのに広報物掲載など事業がそのまま進められたという点を問題にした。

合わせて当時ソウル市の南北交流協力委員会委員のうち１人が同団体の補助金支援に関与していたという疑惑も提起された状況だ。補助金支援を審議する委員１人が同団体の政策委員として活動していたということだ。補助金支援過程で団体内部者を通じた「セルフ審査」が行われたのではないかというのが疑惑の骨子だ。

ソウル市は同団体に対する市の補助金支援に問題がある可能性があるとみて、先月から事前調査を展開した。続けて監査委員会の議決を経て最近監査開始を決めた後、市の南北協力課など関連部署にこれを通知した。ソウル市関係者は「市の補助金を受けて進めた事業の適正性可否などが（優先）監査対象」と話した。

◇「金日成代表団体継承」市民団体捜査依頼

一方、これに先立ちソウル市は尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領退陣運動をしてきた市民団体「ろうそく中高生市民連帯」を対象に監査を進めている。同連帯の場合、市の補助金支援を受け２０２１年９月２７日に刊行した冊子『中高生運動史』が問題になった。

この冊子では同連帯は金日成主席が代表を務めていることがわかった。「打倒帝国主義新時代少年同盟」の系統を受け継ぐという内容などが盛り込まれた。北朝鮮が金日成主席の業績として宣伝する普天堡戦闘などを扱った内容があった点も把握された。このほかソウル市は同連帯が講師料証明書類を虚偽して市の補助金７９４万ウォンを不正に得ていたと疑われる事例２４件を確認することもした。

ソウル市監査委は同連帯が刊行した冊子が国家保安法上、北朝鮮の活動を称揚・鼓舞・宣伝する利敵表現物と認定される素地があると判断し、国家保安法違反などの容疑で捜査することを求め３日に警察に捜査依頼と告発措置をした。該当捜査はソウル警察庁安保捜査隊で行われる見通しだ。