８日夜、北朝鮮で朝鮮人民軍創設７５周年の建軍節を迎え金日成（キム・イルソン）広場で開かれた軍事パレードで、金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長の娘のジュエ氏が集中的にスポットを浴びた中、これまで北朝鮮の権力「ナンバー２」と呼ばれてきた金与正（キム・ヨジョン）朝鮮労働党副部長と推定される女性がこの行事で後方にいるのがとらえられた。

韓国統一部は１３日、朝鮮中央テレビが９日に録画中継した軍事パレードの報道画面で「金与正と推定される人物と識別された」と明らかにした。



報道画面上には金委員長夫妻とジュエ氏が軍事パレード場に到着して入場する間、金副部長と推定される女性が軍人の後方に一人で立っている。黒いコートを着た女性は隊列から離れ遠くから見守っている。この場面を除き軍事パレード報道ではこれ以上映らなかった。

今回の軍事パレードは北朝鮮軍に白頭血統を強調し金委員長の家族に対する忠誠を誓う席で、これまでナンバー２と呼ばれた金副部長ではなくジュエ氏が貴賓席に座った。

◇金与正、「後継者」候補１位？…「金正恩、妻安心させようと娘公開」

一部では北朝鮮の４代世襲体系を強固にし、同時に最側近である金副部長を牽制するための政治的動きという解釈が出ている。

韓国戦略文化研究センターのチェ・ジンウク院長は「金与正副部長は影響力が強く野心満々で積極的だ。金正恩委員長の妻はこれを良しとせず、まさにこの点が金委員長が娘を公開した理由」と先月２７日に英紙ザ・タイムズに明らかにした。その上で「金委員長は妻を安心させ、妹には『これが私の娘で未来世代』という巧妙だが明確なメッセージを与えようと娘を公開したもの」と説明した。

先月５日には金委員長が突然死去した場合、現時点で妹である金副部長が後継者になる可能性が最も高いという分析が米国から出ている。ウィルソンセンターのアジア局長を務めるスミ・テリー氏は米国のシンクタンク戦略国際問題研究所が開催した北朝鮮のリーダーシップを主題とするオンラインセミナーで、「金与正は少なくとも２０１４年から実権を行使した妹でありナンバー２。金正恩委員長の子どもがまだ幼い上に北朝鮮の体制が強固なため金委員長有事発生時に内部的に急変事態が発生する可能性は少ない。その場合、金与正に権力が委譲される可能性が大きい」と予想する。ヘリテージ財団のブルース・クリングナー上級研究員も「北朝鮮には反対派や反対派指導者がいるわけではないため、金正恩が急死しても秩序正しい方式で継承できる。金与正はここで最優先順位にいることもあり、金正恩が死んだとしても政策変化のシグナルはないだろう」と明らかにした。