昨年末、韓国江原道江陵（カンウォンド・カンヌン）で発生したスポーツ用多目的車（ＳＵＶ）の急発進疑い事故で１２歳の息子を失った父親イさんは２３日、「自動車メーカーが急発進欠陥がないことを立証するように責任を転換する法改正が至急必要」と明らかにした。

イさんはこの日、国会国民同意請願ホームページにコメントを載せて「急発進疑い事故で１２歳の明るい夢多き息子を天国に送り、当時ドライバーだった私の母は刑事立件されるという事故があった」と記した。

イさんは「孫の世話とするために縁故のなかった江陵に来て、８年以上も子どもたちの登下校を担当して事故当日も普段と同じように塾から孫を車に乗せて帰宅する途中にあまりにも恐ろしく想像すらできなかった急発進事故で息子と生き別れることになった」と背景を説明した。

昨年１２月６日午後３時５９分ごろ、江陵洪済洞（ホンジェドン）のある道路でイさんの母親Ａさんが運転していたＳＵＶが水路に落ちてＡさんは重傷を負い、イさんの息子は死亡した。車両は突然轟音と共に白い液体を噴出しながら３０秒以上６００メートルを走行した後に事故が発生した。事故車両のドライブレコーダーにはＡさんが「ああ、なぜいうことを聞かないの。大変なことになった」と言いながら慌てた様子で叫ぶ情況が残されていた。

イさんは「とても平穏で平凡だった日常が急発進事故によって一家庭が粉々に砕け散った」とし「これ以上生きていく理由も感じられないまま悲しみに沈んでいたが、当時ドライバーだった母が刑事立件されたという青天の霹靂のような事実を聞いた。母に有罪判決が下されるのではないかと思って戦々恐々とし、息子を天国に送った苦痛と悲しみ、痛みもさておいて、母の無罪を訴える嘆願書も受けている」と明らかにした。

イさんは「受け入れることのできない現実の中に、あまりにも大切な命である私たちの息子がなぜ天国に行かなければならなかったのかに対する原因糾明をしなければならないと考えて、周辺の引き止めにもかかわらずメーカーに対して民事訴訟を起こした」とした。

続いて「息子を先に見送った悲しみと痛みの苦痛をすべて哀悼できないまま急発進がなぜ発生したのかに対する事故原因糾明を非専門家である事故者や遺族が証明しなければならないという悔しさと苦しい大韓民国の現実に怒りがさく烈し、悲嘆に暮れた」とした。

イさんは「すべてのドライバーおよび急発進事故で同じ痛みを体験している国民の皆様を代表して国会に訴える」とし「『急発進疑い事故発生時の欠陥立証の責任転換』と急発進事故がこれ以上発生しないように『メーカーの技術的対策準備』が必須なので、切実な気持ち、焦る気持ちで、皆さんが請願に参加してくださるように切にお願いする」と訴えた。

イさんは請願の趣旨として「自動運転システムが適用され、電動化される自動車で絶えず発生する急発進疑い事故のとき、ソフトウェア欠陥は（事故）発生後はその痕跡を残さないためその立証が事実上不可能だ」とし「それでも現行の製造物責任法は車両の欠陥があることを非専門家であるドライバーや遺族が立証するように規定している」と主張した。

イさんは「このような不合理かつ不公正な製造物責任法条項を、少なくとも急発進疑い事故のときには自動車メーカーが急発進欠陥がないことを立証するように責任を転換する法改正が至急必要だ」と強調した。

請願書が公開されたこの日、イさんの請願に９０００人以上が同意した。３０日内に５万人の同意が得られれば国会所管委員会および関連委員会に回付されて審査を受けることになる。