【コラム】国家の根本を揺るがす「理工系エクソダス」=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.03.29 14:23
最近、ある集まりで中学生の息子を米国に一人で留学させたという父親に会った。彼は年間6000万ウォン(約600万円)を超える息子の留学費のため首が回らないと言いながらも、息子が米国の学校によく適応しているのでよかったと話した。また、息子が米国で大学まで卒業して就職し、現地で暮らすことを望んだ。すると小学生の息子がいる別の父親が「私の息子も米国で就職してほしい。10年後に息子が就職する時には韓国に良い雇用はないはず」とし「韓国には未来がない」と語った。
彼らが韓国の未来を悲観する理由は明白だ。韓国の昨年の合計特殊出生率は0.78で世界最低だった。結婚と子どもの必要性に対する認識が低下し、少子化は続く可能性が高い。一方、急速な高齢化で65歳以上の人口比率は昨年の17.5%から2050年には世界最高水準の39.4%になると予想されている。米投資銀行ゴールドマンサックスによると、少子高齢化で現在世界10位圏の韓国経済は2050年には15位圏に下がり、2060年以降は主要国のうち唯一マイナス成長に転じるという。
少子高齢化は国民年金財政も急速に枯渇させる。国民年金財政推計専門委員会は現行制度を維持する場合、2041年に基金が赤字に転換し、2055年には底をつくと予想した。多くの青年が国民年金保険料を出しても後に年金を受ける可能性はないと考えている。経済協力開発機構(OECD)は昨年「国民年金保険料率をできるだけ早期に合理的な水準に引き上げるべき」と勧告した。