バイデン米大統領が連邦政府の債務不履行（デフォルト）を避けるためインド太平洋歴訪日程を短縮し中国の浮上を牽制するための外交戦略に否定的影響を及ぼすのではないかとの批判が提起された。米国大統領の史上初の訪問を歓迎するため祝日まで宣言したパプアニューギニアでは中国と比較する不満の声が出ている。

バイデン大統領は１７日に先進７カ国首脳会議（Ｇ７サミット）が開かれる日本の広島に向け出発した。出国に先立ちバイデン大統領はホワイトハウスでの国民向け演説を通じ「米国はデフォルト状態にならず予算に対する合意に至るだろうと確信する。今回の交渉は予算に対するものであり米国が負債を支払うのかどうかについてではない」と話した。

早ければ６月１日に連邦政府が負債を返せない状態になる恐れがあるとの懸念の中で出国しながらデフォルトはないという国民へのメッセージを伝えたものだ。バイデン大統領はＧ７サミットに参加しても米国はデフォルトを避ける方法を見つけるだろうと主要国首脳を安心させる役割をすることになるとニューヨーク・タイムズは予想する。

バイデン大統領は負債限度引き上げ交渉期限の６月１日まで２週間しか残っていない状況でデフォルトへの危機感が高まるとサミット後に計画していたパプアニューギニアとオーストラリア訪問を中止して議会との交渉に向けた早期帰国を決めた。

パプアニューギニアとオーストラリア訪問がインド太平洋地域で影響力を拡大している中国を牽制するための布石だったという点からバイデン大統領の訪問中止は米国のリーダーシップに否定的影響を及ぼしかねないとの懸念が出ている。

米国大統領が史上初めて訪問するのを記念するため祝日まで宣言したパプアニューギニアは失望を隠せずにいると米公営ラジオＮＰＲが伝えた。バイデン大統領はパプアニューギニアに３時間ほど滞在する予定だった。

中国の習近平国家主席は２０１８年１１月に中国の最高指導者として初めてパプアニューギニアを国賓訪問した。中国政府は同国のインフラ開発に巨額を投資して関係を深めている。

ＮＰＲはパプアニューギニアが祝日を宣言するなど多くの資源を動員したが訪問中止決定で米国が太平洋諸国との関係強化に真摯に取り組んでいないとのメッセージを送るものだとの現地専門家の意見を報道した。

パプアニューギニア大学マハロパ・ラベール教授はＮＰＲに「国家主席がパプアニューギニアを訪問して太平洋諸国の指導者らと会った中国と比較すると米国が太平洋諸国を本当に軽んじているという事実を見せる」と話した。

サリバン米大統領補佐官はこうした批判に反論した。サリバン補佐官はバイデン大統領に随行して日本に向かう専用機で開いた会見で、日程短縮がインド太平洋地域に誤ったメッセージを送るのではないかとの質問に「負債限度または予算をめぐる最終交渉は後でやることはできず、デフォルトは延期することはできない。だが訪問は延期できる」と答えた。

サリバン補佐官は尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領の国賓訪問と「歴史的なワシントン宣言」、英国・オーストラリアと締結したＡＵＫＵＳ原子力潜水艦協力協定などに言及し、「これらすべてを合わせてみればわれわれはインド太平洋で米国の位置付けに対しとても良いと感じる」と話した。

サリバン補佐官はバイデン大統領がすでにオーストラリア首相を国賓として招いており、年末には太平洋諸国の指導者をホワイトハウスに招くだろうと付け加えた。サリバン補佐官は「オーストラリアとパプアニューギニア訪問を先送りしたことが現時点で米国外交の基本原則を見せていると話すのは非常に誇張された側面があると考える」と話した。