最近一部科学技術界と野党が批判する韓国政府の研究開発予算削減案に対し、尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領が反論する立場を明らかにした。大統領室と韓国政府関係者らによると、尹大統領は２５日の閣議で「研究開発予算削減に対する世間の批判を知っている」としながらも、「国が最初から最後まであらゆることをすべて支援することはできない」と話したという。既存の政府案を維持するという方針を明らかにしたものだ。特に尹大統領は、「国の支援は関連企業と研究陣が独り立ちできる技術自立力を備えるまで集中するのが正しい」という点も強調した。不確実性が高い研究初期段階や企業が乗り出しにくい分野に国が先制的に支援するが、ある程度技術自活力を備えた分野は民間に任せなければならないという趣旨だった。大統領室関係者は「研究開発予算において国と民間の領域は分離するべきだというのが尹大統領の考え」と話した。

尹大統領が６月の国家財政戦略会議で「予算を分け合う形の研究開発はゼロベースから見直す必要がある」としてこれまでの研究開発の慣行を「利権カルテル」と指摘した後に、韓国政府は関連予算を大幅に削減した。８月に企画財政部が発表した来年度予算案によると国家研究開発予算は昨年の３１兆１０００億ウォンから５兆２０００億ウォン（１６．６％）減った２５兆９０００億ウォンが割り当てられた。科学技術情報通信部は減額予算のうち１兆８０００億ウォンは一般財政に再分類され実質的な縮小規模は１０．９％という立場だ。だが科学技術界の反発は依然として激しい状態だ。これと関連し一部では政府と与党が「研究開発予算削減を再検討するだろう」という見方も提起されたが、大統領室高位関係者は「研究開発予算を分け合うやり方を撤廃しなければならないという立場は変わることがない」と話した。

尹大統領は前日の閣議後も首席秘書官会議を主宰しながら「釜山（プサン）万博誘致戦が終わった後も今年のように多くの首脳に会うだろう」という考えを参謀に伝えたという。尹大統領は「韓国国民と企業はすでに名前も聞いたことのなかった世界各国のあちこちで事業をしている。だが韓国大統領に会ったことがない世界の首脳があまりにも多い」ともどかしさも示したという。先週ニューヨークの国連総会で釜山万博誘致に向け４０カ国以上の首脳と会談するなど強行軍を継続した尹大統領は午前の閣議で鼻血を出した。

尹大統領は参謀らに国際社会に対する寄与の重要性も強調した。各国に対する韓国の寄与が世界で働く韓国国民と企業に役立つためだ。大統領室高位関係者は「外交を通じて韓国企業が助けを受けるならば、それはやはり韓国経済に力になるということが尹大統領の考え。外交と民生はコインの裏と表」と話した。