物価・景気・金融安定がこじれるトリレンマ危機の韓国…経済算法が複雑になった
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.10.03 09:27
物価と成長、金融安定という目標のための韓国経済“算法”が複雑になっている。3つの目標を同時に達成しにくい「トリレンマ(trilemma、三重ジレンマ)」状況に陥る可能性があるという懸念が出ている。高金利・高物価の中で景気回復が鈍化して低成長が固定化する兆しが明らかになっているが、家計負債増加と歴代最大幅まで広がった韓米の金利差(最大2%ポイント)は緊縮基調に力をのせてぶつかる。それでも景気浮揚だけを追うには物価不確実性と金融不均衡累増が心配だ。最近、米連邦準備制度理事会(FRB)が高金利の長期化を示唆してこのような三重苦を巡る不確実性も高まった。
3種類の目標のうち、核心は物価安定だ。韓国は主要先進国に比べてインフレーションを比較的早く安定させて現在も物価が予想経路に沿って動いているという評価を受けたが、最近の国際原油価格に足を引っ張られている様相だ。韓国統計庁によると、8月の消費者物価指数は前年同月比3.4%上昇して7月2%台から反騰した。8月の生産者物価指数も前月比0.9%上昇して昨年4月(1.6%)以降、1年4カ月ぶりに最も大きな上昇幅を示した。集中豪雨や猛暑などの影響で農産物価格が13.5%上昇し、国際原油価格上昇の影響で石炭・石油製品(11.3%)、化学製品(1.4%)などが上昇して工業製品価格も1.1%上昇した。1年後の物価展望を現わす期待インフレーションは9月3.3%で相変らず物価目標値(2%)より高い水準だ。
それでもすぐに緊縮モードに入れば、内需回復動力を損ないかねないという点で政策当局と韓国銀行の悩みは大きい。高金利の影響は内需と輸出不振に続いて景気に冷水を浴びせることがあるためだ。貸出金利もあわせて上昇し、国民の利子負担も重くのしかかる。