米シンクタンク「台湾有事の際、朝鮮半島からの米軍直接投入は難しい」(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.09.23 09:58
◆合意も「グレーゾーン」
さらに報告書は在韓米軍の戦略的有用性に関連し▼韓米相互防衛条約(MDT、1953)▼在韓米軍地位協定(SOFA、1966)▼在韓米軍の戦略的柔軟性に関する合意(2006)を分析した。ただ、結論的にいかなる合意も台湾有事における在韓米軍運用の可能性に明確な説明をしていないと指摘した。
韓米相互防衛条約については「(外部の脅威を)北朝鮮と明示したり(韓米同盟の範囲を)朝鮮半島に限定したりする内容もないが、とはいえ米日安全保障条約のように在韓米軍をより広い領域の安保のために活用できる根拠もない」というのが報告書の指摘だ。韓米相互防衛条約は同盟運用の範囲を「太平洋地域」(第3条)に設定し、「外部の武力侵攻時に両国が協議する」(2条)と規定しているが、条項の解釈により適用が異なるという説明だ。
在韓米軍地位協定についても報告書は「協定そのものは事前通報(reporting)義務を明示していないが、国際慣例的にみると米国が韓国に在韓米軍の運用に関して協議をする『政治的な義務』は負うと考えることができる」と分析した。
最近の合意である両国外交長官間の「戦略的柔軟性合意」については「条項があいまいであり、在韓米軍の朝鮮半島域外再配置について答えを出すことはできない」と報告書は指摘した。実際、戦略的柔軟性合意は「在韓米軍の戦略的柔軟性の必要性を認める」としながらも「韓国国民の意志と関係なく北東アジア地域紛争に介入することはないという韓国の立場を尊重する」としている。
◆台湾関連の役割要求が強まる可能性も
ランド研究所の分析のように、台湾有事の際、在韓米軍の戦略的柔軟性に関してはいくつかの法的解釈と政治的論議がある。韓国でも多様なシナリオに対応した状況別の計画を綿密に樹立する必要があるという声が高まる理由だ。
これに先立ち尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は「中国が台湾を攻撃する場合、北も挑発する可能性が高い」とし「韓国では強力な韓米同盟を基礎に北の挑発に対応することが最優先課題」(2022年9月、CNNのインタビュー)と述べた。北朝鮮の核への対応を理由に台湾有事に在韓米軍が直接関与する可能性に一線を画したのだ。しかし11月の米大統領選挙の結果しだいで台湾海峡での不確実性が高まる場合、韓国も明確な立場が要求されるはずという指摘も出ている。
米シンクタンク「台湾有事の際、朝鮮半島からの米軍直接投入は難しい」(1)