「私の家族全体は５年間社会的制裁を受けたと考えます」。

１８日にソウル高裁の審理で開かれた曺国（チョ・グク）元法務部長官の子どもの入試不正と監察もみ消し容疑の控訴審結審公判。午後２時から７時間以上続いた裁判の末に曺元長官は最終陳述に出た。曺元長官は「圧倒的検察権行使の前に私は無力だった。捜査と起訴が進められた１日１日が生き地獄だった。最小７０カ所に達する家宅捜索が行われた。家族の同意なく提出されたパソコンの中のわずかな文字対話がメディアに公開されて嘲弄され有罪の根拠に援用された」とした。

曺元長官は「私の言葉と行動が一致できなかった点、私の仕事と子どもの仕事に緩い基準を適用した点を反省する」としながらも、自身に適用された公訴事実を否認した。曺元長官は「子どもたちは１審宣告後、悩んだ末に学校に学位を全部返上した。娘は大学と医学専門大学院訴訟を断念し、息子は大学院修士学位を返上した。どんな形であれ釜山（プサン）大学関係者のだれにも娘の指導教授をしてくれと言ったことはなく、娘の奨学金を頼んだこともない」とした。また、監察もみ消し疑惑と関連しても「不正を隠そうとしたなら最初から監査を指示することもなかっただろう」と述べた。

曺元長官は「被告人が頼る最後の砦は裁判所という言葉が切実だ。検察の疑いと推論、主張が事実と違うこともあることもう一度考えてほしい」と裁判所に主張した。

曺元長官とともに起訴された妻のチョン・ギョンシム元東洋大学教授は最終陳述で「４年５カ月ほどの間に持っていたものをすべて失った。家族が新たに始められるよう善処を下すよう懇請する」とした。

◇検察、控訴審も曺元長官に懲役５年求刑

検察は１審と同じく曺元長官に懲役５年に罰金１２００万ウォン、追徴金６００万ウォンを、チョン元教授に懲役２年を宣告するよう裁判所に要請した。曺元長官は２月の１審で懲役２年を、チョン元教授は懲役１年を宣告された。

検察は「被告人は社会の期待と責務をないがしろにし、自分たちの既得権と特権を利用して反則をし、この程度なら構わないという認識でこの事件の犯行に進んだ。道徳的非難の境界線を超え偽造・ねつ造など犯罪領域にまで果敢に進んで子どもの経歴を作った」と指摘した。その上で「被告人の犯行がなかったならば合格できた勤勉・誠実な志願者は人生航路が変わる莫大な被害を受けた。被告人のまた別のダブルスタンダード」と指摘した。

検察は「被告人はまだ反省しておらず検察捜査の被害者のような振る舞いをしている。曺元長官をめぐる疑惑と実体を糾明する過程で社会的・政治的威勢を動員した実体的真実糾明妨害と法的責任回避で深刻な社会的分裂と消耗的対立がいまも続いている。被害者は被告人ではなく国民」とした。

これに対し曺元長官とチョン元教授の弁護人を務めるキム・ジョングン弁護士は裁判所に無罪判決を下してほしいと要請した。キム弁護士は「（検察が）被告人を標的とみなして問題になることばかり見つけ出し、積極的に犯罪になるものだけで公訴事実を構成した。こうしたやり方の捜査は難しそうだし、今後もないだろう」とした。キム弁護士は曺元長官の娘が後に起訴されたとし、「被告人の家族の苦痛が終わらず延びる結果をもたらした」として検察を批判したりもした。